日経・日経センター緊急提言
2022年2月21日(月曜日)の日本経済新聞に非常に興味深い記事がありました。
昨今、デジタルトランスフォーメーション(DX)が叫ばれていますが、医療版のデジタルトランスフォーメーションといったところでしょうか。
日経・日経センターの提言は、大まかに以下の5点だと考えます
- 医療を国民に見える化
- 病院経営に政府・行政がもっと関与する体制を
- デジタル化により、もっとイノベーションを
- 緊急時及び有事のガバナンス強化・スピード化
- 財政を考慮し、社会保険の負担率・給付の改善を
それぞれについて、考察してみたい
医療を国民に見える化すること
提言では、医療“データ”を可視化となっていたが、私自身は医療を見える化するべきだ、と捉えた。日本の医療について、私一個人の主観ではあるが、“医療”というものを国民・患者に見える化するべきと、考えている。現在の医療は、情報を外にださない、組織に内部で抱えているという問題がある。もちろん、患者の病歴など機微な情報を含むため、プライバシー保護の点から情報を守ることは理解できる。しかし、医療の効率性、地域医療の連携向上に利用価値のある情報まで医療機関内部で保護していないだろうか。例えば、コロナ禍で問題になった病床問題、かかりつけ医でかかった検査や処方情報が救急指定病院に連携されていない問題、など。こういった情報は、国民・患者の健康を守るため、予後の改善やQOLを向上させるため、自施設だけでなく、広く連携させる仕組みが必要であると考える。監督官庁である厚生労働省も「地域包括ケアシステム」の構築に向けて動いているのですから。
私どもは、医療施設内の情報連携システム、アプリケーションだけでなく、医療機関の外に対しての情報連携・表示システム、アプリケーションを開発、ソリューション提案を行っております。規模の大小は問いません、ご相談ください。
病院経営に政府・行政がもっと関与する体制を
日本の医療制度は、「フリーアクセス制」をとっており、国民・患者が、“いつでも”“どこでも”医療を受ける権利を有している。また、それを診察する保険医(医師)も医師法にて、“応召義務”が課せられ、“正当な理由”なく診療を拒否できないとされている。ただ、このコロナ禍で問題が表面化されたとおり、施設内をゾーニングしていないや感染症に対しての人員は配備されていないなどの感染対策上の理由から、診療所や中小規模の医療機関で、コロナウィルス感染の患者が受け入れられていないところが散見していたように思う。それによって国民・患者が不利益を被らないように、国民・患者の命を守るため、政府・行政は、医療機関の経済的・人的な支援をするのと同時に、医療機関の経営をコントロールする仕組みが必要であろうと考える。そのためには、左記でも少し述べました“病診連携””病病連携””システム連携””情報・データ連携”がキーになってくるものと考える。
私どもは、医療の“地域連携”、“情報連携”を目的に、システム・アプリケーションの開発、ソリューション提案を行っています。規模の大小は問いません、ご相談ください。
デジタル化により、もっとイノベーションを
国民の86.9%(2021年9月時点)がスマートフォンを所有している時代になり、医療もデジタル化する必要あると考える。最初に述べた、「ヘルスケア・トランスフォーメーション」である。コロナ禍になり、日本のデジタル化の遅れは顕著に表面化された。医療業界もこの流れに遅れを取ってはならないし、時代にあった医療のあり方、オンラインを活用した診察、スマートフォンやデバイスを使って個人の健康データや活動データの収集して、国民・患者の健康維持、病気の治療、予後の改善、QOLの向上を進めていくべきと考える。またイノベーションをもっと進めるためにも、政府・行政は、現在ある既存の規制を緩和する方向も考えいていただきたい。もちろん、命や人体に関わる影響もあるため、単純で安易な議論ではできないだろうが、向上心あり意欲ある人が医療やヘルスケア業界に容易に参入できる仕組みにしていただきたい。
私どもは、スマートフォンによるヘルスケアアプリケーション、医療機器プログラム(SaMD)の開発、ソリューションの提案を行っています。ご相談ください。
緊急時・有事のガバナンス強化・スピード化
今コロナウィルスパンデミックでは、政府・監督官庁の指示の遅れ、国と地方自治体の役割分担、保健所のキャパシティオーバー、ワクチン接種など、様々な問題が表面化され、国民・患者の命が危険にさらされてしまったと考えている。今回のコロナウィルスのような感染症パンデミックが発生した際には、平時のような対応とは別に、あくまで例えにはなるが、東日本大震災等の天災が起こったときのように自衛隊に司令塔・指示機能をもち、内閣または知事が監督するような仕組みが必要ではないかと考える。すなわち、コロナパンデミックのような感染症有事の際には、国民・患者の命を守る政策とスピード感をもったリーダシップを持った政策判断が問われる。
財政を考慮し、社会保険の負担率・給付の改善を
2025年には団塊の世代が全て後期高齢者になる。また、2045年には団塊ジュニア世代が後期高齢者になる。今後25年は、高齢者医療、社会保障費は増加する一方になることは容易に想像できる。2021年現時点で、社会保障費は130兆、2040年見通しでは190兆円と試算されている。現在の社会保険料、税で増大する社会保障費を賄うためには、正直言って厳しい数字であることは確かである。自然増による社会保障費が増えることはある程度は許容した上で、先に述べたように、デジタル化による健康・予防施策を行うこと、先進的な治療薬開発のためのイノベーションとヘルスケア事業への参入を容易にすること、先進治療薬や医療機器、医療機器ソフトウェアの承認、治験の迅速化が必要であろうと、考える。
最後に、日経の提言では、コロナウィルスを「ふつうの感染症」にすべく、感染症法上の2類相当から5類相当へ下げること提言しているが、保健所の業務が逼迫しているから、急性期医療が逼迫しているから、などの安易な考えで下げるのだけはやめていただきたい。感染症の重篤制、感染力などの公衆衛生の観点から議論していただくことを望みます。
以上のように、私どもは、ITの観点から医療を今以上に良くするため、活動をしています。小さなお困りごとでも遠慮なくご相談ください。
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